契約書・内容証明作成
契約書作成
契約は当事者の合意に基づいて成立するもので、口頭だけでも成立し、文書によらなければならないものではありません。
では、なぜ契約書を作成するのか。
一つは、当事者どうしが契約内容について確認したことを忘れないようにするためです。
契約と同時に履行し即時に完了するような簡単な契約なら文書を作成するまでもないかもしれませんが、履行期間があったり、複雑な内容であったりすると、文書にしておかなければ、言った、言わないということになりかねません。
もう一つは、相手方が契約を履行しなかったり、争いになった時に、契約書がなければ、契約の内容について立証することが困難になるので、そういう場合に備えるためです。
親しい間柄だからといって口約束で重要な事柄を決めたりすると、後々問題になりなりかねません。
知人が、実家の誰も住まなくなった家を売ろうと思っていた時に、調べたところ、排水管が隣地の下を通っていることがわかりました。
家を建てる時に、敷地から公共排水路に直接排水管を通すことが困難であったため、彼の親が隣地の所有者と話し合い、一定の金額を支払って、隣地の地下に排水管を埋設させてもらったらしいのですが、覚書もなにも交わしていませんでした。
ところが、隣地の所有者がその後亡くなり、その土地は相続人から第三者に譲渡されてしまいました。現所有者を探しましたが、住所地には住んでおらず行方がわかりません。
万が一所有者から排水管の撤去を主張されたとしたら、何も権利を主張する根拠となるものがないのです。
これでは、家を売ろうと思っても、売るのは難しいでしょう。
契約書にしろ覚書にしろ、約束した内容を文書として残しておくことはとても重要です。
内容証明作成
内容証明とは、いつ誰が誰あてにどのような内容の郵便物を出したか、証明してくれる郵便の取り扱いです。
普通郵便で出せは、相手方は、そんな文書は受け取っていないというかもしれませんが、内容証明で送れば、送ったということが証拠として残るので、相手方も反論できなくなります。
郵便局にも文書の謄本が保存されるので、差し出した日から5年以内であれば、再度証明を受けることができます。
内容証明は次のような場合に利用します。
- 契約の解除をするとき
- 時効の中断をするとき
- 債権譲渡を債務者に通知するとき
- 相手方に強く履行を促すとき
契約の相手方が債務の履行をしないため契約を解除することができる場合には、内容証明が用いられます。
また、訪問販売などは、消費者保護のため一定の期間内であれば契約の解除ができるクーリングオフという制度がありますが、このような一定の期間が定められている場合には内容証明で送るべきです。
貸したお金や売買代金を返してくれないまま放置すれば、いずれは時効が完成し、債権が消滅してしまいます。
最終的には裁判上の請求をするとしても、時効完成間近で訴訟の準備が間に合わない場合も考えられます。
時効完成前に催告書を内容証明で相手方に送っておけば、時効の中断の効果が生じ、到達した日から6か月間は時効が完成しないので、その間に訴訟の準備をすることができます。
債権は、譲渡禁止の特約や法律上譲渡が禁止されているような場合を除き譲渡することができますが、債務者に通知するか債務者の承諾が必要です。
この通知または承諾は、確定日付ある証書によってしなければ債務者以外の第三者に対抗できないこととされています。この確定日付のある証書にはいくつかありますが、通常、内容証明が用いられます。
内容証明は、履行しなければ訴訟を提起しますよという最後通告的な意思表示をする手段として用いられます。したがって、受け取った相手方に強いプレッシャーを与えることになり、訴訟に持ち込まずとも解決につなげることも可能です。
ただし、相手方に誠意があるときや、これからも親しく付き合いたいとき、自分にも非があるときなどは、使用しないほうがよいでしょう。