ペットホテル
先日、ペットホテルの契約書作成のお手伝いをさせていただきました。
私は十数年前から犬を飼っていますが、ペットホテルというものを一度も利用したことがありません。
おそらく、うちの犬は、ペットホテルに預けようものなら、四六時中吠えまくって、夜も眠らず、隙あらば脱走しようとしたりして、とてもホテル様に迷惑をかけるんじゃないかと思うのです。
飼い主である私が、かわいい愛犬をよそに預けるのが心配でたまらないというのが本当のところですが。
そんなことで、我が家では、家族で旅行に行くこともなかなかできずにいますが、私のような異常な愛犬家でない人たちにとっては、ペットホテルというのはとても便利なものだと思います。
預けているペットの様子を写真に撮って送ってくれるサービスもあるようですから、飼い主も安心でしょう。
ペットホテルは動物愛護管理法で規制されていて、第一種動物取扱業として登録しなければならないこととなっています。
環境省の調査では、第一種動物取扱業のうち保管業(ペットホテルのほかにペットを預かる美容室やペットシッターも含まれます。)として登録している件数は、平成28年4月1日現在、全国で25,103件となっています。
動物取扱業は以前は届出制でしたが、登録制になった後の平成19年9月1日現在の登録件数が14,986件ですので、この10年くらいで10,000件も増えています。ニーズが増しているということでしょうか。
さて、ペットをペットホテルに預ける契約は、民法第657条の寄託契約に該当します。
ペットを物として扱うのは愛犬家としては納得できないところはありますが、法律上は物として扱われます。
ただ、ペットホテルは、先の動物愛護管理法で登録に際しての要件が定められていて、施設について基準を満たすことや、一定の資格等を有する動物取扱責任者の設置が義務付けられるなど、「生き物」として適切に管理がなされるよう規制がなされています。
ペットホテルは有償の寄託契約ですから、民法400条の規定により、善良な管理者の注意をもって預かったものを保管する義務を負うことになりますが、そこでは、当然ながら、一般人並みではなく、動物管理のプロとしての注意義務が要求されることになります。
ペットホテルに預けた5頭の犬が死亡して預け主が損害賠償を求めた事件で、千葉地裁は、判決の中で「犬を扱うプロとしての適切な管理を行うべき義務があることは当然である」(平成17年2月28日判決)とも述べています。
生き物なだけに、預けている間にいろいろなトラブルも予想されるので、預ける際にはしっかり契約内容を確認しておいたほうがよいと思います。
ペットホテルもたくさんありますので、どこにしたらいいか迷うところですが、大切な家族を預かってもらうのですから、料金やサービスだけで決めるのではなく、犬の取り扱いに慣れたところに預けるのが安心ですね。
うちの犬は無理ですが・・・。