遺言のすすめ
遺族にとって一番大変なのは、相続手続きです。
故人名義の預金等は所定の手続きを経なければ引き出すことができません。
不動産は故人名義のままであっても、直ちに支障が出るわけではありませんが、売ったりしようと思ったら、名義を変えなければなりません。
例えば、預金の相続手続きでみると、相続人は次のような書類を揃えなければなりません。
①遺産分割協議書
②被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
③相続人全員の戸籍謄本等
④相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書がない場合(法定相続分による相続の場合)でも、上記の②から④までの書類が必要です。
①、③、④の書類は相続人全員の協力がなければ揃えることができません。
相続人同士の住所地が離れている場合などは面倒なことでしょう。
また、①及び④の書類については、相続人が未成年者の場合は、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらわなければ、揃えることができません。
しかし、遺言書があれば、②の書類と、預金を相続する人(遺言執行者を指定していれば遺言執行者)の印鑑証明書があれば手続きができます。
相続人全員から印鑑証明をもらったりする必要がありません。
※遺言書の中で、相続人のうちの誰かを遺言執行者に指定しておけば、遺言執行者が単独で手続きをすることができます。
ただし、自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所の検認を受けなければならないので、多少費用はかかりますが、公正証書遺言をお勧めします。
なお、上記の必要書類は、金融機関によって異なる場合もあるので、注意しましょう。
遺言書を書く意味は、自分の意思を伝えることにありますが、遺族の負担を軽減することにもなります。
相続争いが起きそうな大資産家ばかりが遺言書を書くわけではありません。
遺される家族のために、遺言を活用しましょう。